きっかけは、あの高校時代のボランティアから

kazu89_ajisai500-thumb-1200x800-5860
私が介護職を目指すようになったきっかけは、地元で定期的に募集されていたボランティアです。当時の私は、高校生でそのときはあまり介護職に興味を持っていませんでした。

参加した理由も、とても淡白なものでした。夏休みで丁度暇を持て余していたところ、友達が誘ってくれたからなんとなくその場の雰囲気で参加をしただけです。

ボランティア当日

ボランティアの日程は三日間で、
毎朝家から老人ホームに通ってお年寄りの方のお世話をしたり、
お話をしたり、遊んだりして夕方に帰宅というスケジュールです。

期間中にはレクリエーションや小さなイベントもありました。
最初は少し面倒に感じていましたが、それも本当に最初だけです。
初日に友達と老人ホームに行ったときは、とても緊張していた記憶があります。

でも、常駐している介護士さんが温かく出迎えてくれて、その緊張もほぐれました。
実際にお世話をするお年寄りの方々と対面したときは開口一番に
「来てくれてありがとう」と言われて、とても心がほっこりしたんです。

このボランティアに参加してよかったと思えた瞬間でもあったと思います。
私が主に日常的にしていたお世話は、担当しているお婆さん達を支えて
目的地まで誘導することや、食事を運んだり、お話をしたりすることが中心でした。

このときに私が気づいたことは、お年寄りの方々は、私が何かお世話をする度にいつも決まって
「ありがとう」と言ってくれることです。食事を持ってきたとき、庭に案内したときや、
話相手になったとき、お年寄りの方々は、絶対にお礼を言ってくれたんです。

私としては、当たり前のことをしているだけなのに、
だかそれがとても照れくさく思えたんです。同時に、嬉しくもありました。

お爺さんとの出会い

こんなことがありました。私が掃除に使った箒を片付けようと思って、館内を移動していた時です。
ロビーにお爺さんが座っていました。そのときは軽く挨拶をして通り過ぎたんですが、
背後でお爺さんが咳き込んでいたのが聞こえたんです。痰が詰まったような咳き込みだったので、
口の中が不快だったんだと思います。

そのとき私は無意識に食堂まで走って、水を取りに行きました。
咳き込んでいるお爺さんに「良かったらどうぞ」と水を差し出すと、
お爺さんは最初びっくりしていましたが、その後すぐに笑顔になって
「ありがとう」と少し掠れた声で受け取ってくれたんです。

水を飲んで落ち着いたお爺さんは、はきはきとした声で
「ありがとう、助かったよ。あんたはとても気が利く子だね」とお礼を言いました。
それから、そのお爺さんとはボランティア最終日までよく話していたと思います。

お爺さんはとても物知りな人で、色々なことを教えてくれました。
一度、他のお爺さんやお婆さんも混ざって話しこんでしまって、定刻時間を過ぎてまで
話してしまったことがあります。介護士さんには注意されていまいましたが、とても貴重な時間でした。

長いと思っていた三日間もあっという間に過ぎてしまって、
ボランティア期間も気づけば最終日。実は、この最終日に泣いてしまったんです。
最初に仲良くなったお爺さんは頭を撫でて「またいつでもおいで」と言ってくれた記憶があります。
恐らく、このときが私が介護職を本当に目指すようになったきっかけだと思います。

そのまま私は進路を大きく変更して、介護職の専門学校に進む道を選びました。
両親や担任の先生にももちろん驚かれましたが、後悔はしていません。

何故ならば、こうして私は目標としていた介護職に就いていて、
毎日やりがいのある日々を送っているからです。いずれは、この経験を元にして、
老人ホーム経営を実現したいと思っています。

line