その「ありがとう」のために

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介護職をしていると、ほとんど毎日と言って良いほど「ありがとう」という言葉を耳にします。なんてことのない、あっさりとした言葉に聞こえるかもしれませんが、やはりどんな状況でも「ありがとう」と言われることは嬉しいものです。

介護職は、世間一般でもよく囁かれていますが、決して楽な仕事ではありません。
相手のお世話をするので当然体力も人並み以上に必要にはなりますし、
定期的に講習会や研修に参加して勉強をすることも大事です。

介護職の難しいところ

また、ただ相手のサポートをすれば良い話ではありません。
相手の心を気遣いながら、心を通わせられるように接することも大事なんです。
相手も自分も同じ人間です。嬉しく感じるときもあれば、
悲しく感じるときだってあります。

それら全ての感情の変化を即座に察することは困難ですが、
雰囲気だけでもなんとなく察することは出来ます。私も最初は、
相手がどんな気持ちでいるのか分からなくて、
勤務当初は仕事が辛いと思ってしまうことがありました。

何をしても不機嫌そうな顔をしている。喜ばせようと思ってしたことが、
全然喜んでもらえなかった。こういうことも今までに何度もありましたが、
この仕事を通して経験を重ねていくうちに、だんだんとどんなことを考えているのか
分かるようにもなってきたんです。

もちろん、思考を読むなんて超能力みたいなことは出来ませんが
「今は一人にして欲しそうだな」とか「ちょっと機嫌が悪そうだから、お茶を持って行こうかな」とか、
相手の気分を察する程度のことです。でも、こうして相手の気持ちを察することで、
仕事はとてもしやすくなったと思います。

きっと、介護職初勤務の方であれば、
私と同じような悩みを抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
相手の気持ちを読み取れなくて、不快か気持ちにさせてしまった。
何をしても喜んでもらえないし、何をしても不機嫌な顔をされてしまう。
そのお気持ちはとても分かります。

私も、当時はとても辛くて、どうして介護職を選んでしまったんだろうと
一瞬だけでも後悔してしまった記憶があります。でも、初勤務なんですから、
分からないことがあって当然なんです。分からなくて当たり前なんです。

分からないからといってふさぎこんでしまうのではなく、分からないからこそ、
相手を知ろうとする努力をすることが大事なんですね。

人気な後輩の話

私一つ下の後輩に、とても純粋で真面目な青年がいました。
その青年は、初勤務のときから非常にはきはきとしていて、物怖じすることもなく
分からないことは分からないと真正面から言ってくれたんです。

また、入居者の方々にも「僕はまだ新米なので、もしかすれば至らぬ点が
たくさんあるかもしれません。だからもし、駄目なところとか悪いところがあったら
ずばずば言ってください」と言っていたので、その素直さが注目を集めて
入居者の間にでも大人気になっていました。

体育会系のノリもあって元気だったので、
レクリエーションの際にも率先してリードしてましたね。
私が結構人見知りが激しくて、質問をするにも引け腰になってしまう性格だったので、
彼のような存在はとてもまぶしくて羨ましかったと思います。

分からないことは分からないと言っても大丈夫です。
この後輩ようにチャームポイントになって、逆に人気を集められるかもしれませんね。

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